ご紹介する旧小石原小学校があるのは、福岡や北九州から1時間半内とほど近い東峰村(とうほうむら)。福岡県内で人口最少・高齢化率最高ながら、日本の原風景が残り「日本で最も美しい村」連合に加盟しているのんびりした田舎町です。
小石原焼、高取焼の産地として有名で、もしかしたら、村の名前よりこの焼き物の名前の方でご存知の方も多いかも。窯元は約40戸もあり、年間生産額はなんと約6億円。登り窯などが集積する焼き物街は町歩きも楽しく、人口約2,100人の村に、毎年70万人以上が観光に訪れます。
対象物件は、そんな焼き物の村でも随一の好立地。道の駅(売上1.5億!)と村役場のすぐ目の前で、観光客をはじめ、地元民にとっても利用しやすい場所、かつ景色も美しく、役場や住民の期待も高まっています。
改修工事は村負担!
この物件の何にも勝る推しポイントは、改修費用が3億円分、村負担であること!昭和56年設立(築37年)ですが、平成16年に改装し廃校と思えないほどきれいな状態です(耐震性有)。改修後は、月々50,000円の賃料が発生、貸付期間は最低5年となっています(上限は記載なし)。資金面で注意せねばならないのが、事業開始時に納める12ヵ月分の保証金。3億円に比べれば、まあ、微々たるものですが。
貸付範囲は、校舎一棟借上げが前提。グランドも貸出し可(残っている屋外プールは埋め立て予定)ですが、維持管理費が事業者持ちとなります。施設全体を一体的に運営する事業者を募集し、改修は内装のみ、外壁は極力残す方針で運営内容を含めて提案してほしいとのことです。
村民の要望は飲食宿泊機能
公的な資金が3億円も入るわけですから、それなりに村民の意見も存分にとりいれたいもの。地域からは、開かれた施設を希望する声が多いそう。例えば村民も外部の人も使える飲食機能。窯元さんたちは国内外から訪れる陶芸体験客が、村に泊まってもっとゆっくり体験をできたら…と宿泊機能を希望。欧米系のインバウンド長期宿泊も十分期待できるといいます。
陶芸以外にも周辺では様々な体験ができそうです。林業が盛んで、ホタルの鑑賞地や室町時代から続く棚田もあり。山地部は耶馬日田英彦山国定公園に含まれ、景勝地も多数。東峰村の地域資源を編集すれば、日本ならではの里山の自然や文化と、都会の人をつなぐ最高の拠点ができてしまいそう!あるいはIT企業のオフィス、社員寮兼ゲストハウスなどもいいかもしれません。
用途について縛りはありません。考慮すべき点としては、地区住民が「水源地域活性化プロジェクト委員会」で平成28年度に策定した基本構想があり、今回の物件はその中で、小石原地区や村の活性化に貢献する施設「水源の森交流館(仮称)」として位置付けられているということ。あとは、要項4(2)提案内容にあるという条件を満たせばOKです。とはいえ、自立運営してくれる事業者がいればその意図を反映したいとのこと、基本構想を修正する必要があれば、それも併せて提案可と、柔軟です。
村役場も積極支援
取材でお話を伺い、村役場からは事業者と地域産業や地元民とのネットワーキングも積極的に行っていく姿勢が印象的でした。ハード面だけでなくソフト面もサポートがしっかりしている、もしかしたらこれが公民連携事業成功の最大のポイントかもしれません。とはいえ、要項を読んだだけでは、具体的に誰が設計費用を持つのか?リスク分担は?といった細かな点、不明なところが多く、とりあえず新しい取り組みなので問い合わせて欲しいとのこと。質問の受付は4月23日まで。とりあえず、村のポテンシャル発掘に、お花見がてら東峰村に足を伸ばしてみてはいかがでしょう。