岩手県 紫波町。人口3.3万人の小さなまちですが、盛岡から電車で20分ほどの便利な立地にあり、現在、新築住宅ブームに。その契機となったのがオガールプロジェクト。駅前の広大な未利用地を公民連携手法で開発し、ゆったりとした広場を囲むように、図書館、カフェ、居酒屋、クリニック、学習塾、ホテル、体育館、保育所、パン屋、病児保育、ジム、エコハウス住宅、役場庁舎、フットボールセンターなどの複合開発による、ヒューマンスケールなまちの再生で一躍有名になったまちです。そんな、注目の紫波町で、次なる一手を探る、公募型プロポがはじまりました!
旧庁舎とレトロな旧郡役所
対象となるのは、旧役場庁舎とその敷地内の旧郡役所。現庁舎はオガールエリアへ移転していますが、以前は800mほど離れた日詰商店街付近に立地していました。日詰商店街はもともと奥州街道筋で、奥州藤原氏とも縁が深く、一時は非常に栄えた場所。現在でも国道4号に面しているので、非常に便が良く、交通量も恒常的に18,600~19,100台(H27調査)/日と、集客も見込めます。
駅前のオガールと日詰をつなげる
紫波町は紫波中央駅前のオガールの賑わいを、空き店舗の目立つ日詰商店街に戦略的に波及させるべく、H27年からは、空き店舗を活用したリノベーションスクールを開催。これまで日詰商店街付近で11件の新規事業が立ち上がりました。
旧庁舎は、そんな日詰商店街エリアの次の方向性を決めていくような注目物件。
旧庁舎の建物自体は耐震性に問題があり、使うなら減築するか、撤去して広く使うかを選ぶ必要があります。が、今回の注目は、むしろ敷地内の旧郡役所。これがまた、かわいいのです。よくぞ残っていてくれたと言いたくなるような、ザ・レトロな木造建物。歴史的にも、下見板擬洋風建築なる建築様式を岩手県内に広める役割を担った意義ある建物で、今回は、この建物を保存または活用するアイディアが求められます。
再生のコンセプト
この場所の活用コンセプトとして、紫波町では”まちとまちをつなぐ結節点となり、「農」と「食」が育む、持続可能な場所”を掲げています。
オガールで有名な紫波町ですが、見渡せば美しい田んぼが広がる農業大国。紫波町の図書館は、産業支援図書館で、基幹産業である農業をサポートする機能をもちます。農業系のデータベースが揃い、無料で使えたり、農業専門誌が充実していたり、農家の相談に個別に対応したりして、情報面から農家のビジネスを強力に支える重要な役割です。
低農薬なおいしい野菜と子育てコンテンツ
さらに、地元の方にとっては当たり前すぎて、全くもってアピールされていませんが、寒冷な気候のため、紫波町の野菜は基本的に低農薬。なので、そもそも野菜が美味しく、少ない努力で無農薬・オーガニックな野菜ができるのも特徴。
平成28年に策定した日詰リノベーションまちづくり構想の中では、そんなまちの資源を子ども達のユニークな教育につなげていく風景も描かれています。まちなかには芝生広場があり、日詰商店街とオガールが繋がり、人が行きかう。旧庁舎の敷地は、それを体現するようなオーガニックなお野菜をつかった安全でおいしい食と子育ての拠点なんかになったら最高だと思うのです。
こんなクリアなビジョンを掲げている町はなかなかない。さらに、公民連携の実績があり、ビジョン実現のためなら強力なバックアップ体制で事業に協力してくれるお墨付きもある。こんなチャンス、なかなかないので、個人的には、ぜひ、クリエイティブに新しいことにチャレンジする場を求めているような方に集まってほしいものです!
特に、子育て関係の幼稚園や保育園、学びの機会を提供する事業者のみなさま、そして食でのインキュベーションをお考えの方!絶対チャンスです!コラボレーションして紫波町ならではのビジョンを実現するような場をつくりませんか?