独立採算の公園
公園の維持管理費といえば、従来はコストでした。税金から直接、または指定管理業者へ業務委託料として、出て行くだけのお金。でも公園の運営で稼ぐことができれば、この維持管理費を独自にまかなうことができるはず…
そんな公園、もうあります。
アメリカはニューヨーク、ブルックリン。
港の桟橋と貨物処理のための土地を、みんなの憩いの公園にしたブルックリンブリッジパーク。
公園の維持管理費は、園内に建設した住宅棟の地代や、営業権などの収入でまかなっています。
桟橋を公園に
ブルックリンブリッジパークは、ブルックリンのイーストリバー沿いに約2キロにわたり広がる、広大な公園。
1984年、当時港だったこの土地を持っていた港湾局は、桟橋一体を商業開発のために売却すると発表。
これを契機ににこの土地のパブリックリソースとしての価値が再評価され、1998年にはブルックリンブリッジパークの計画立案を請け負うための会社を設立。2000年に、ウォーターフロントの公園にする、というコンセプトが打ち出され、2002年には州知事とニューヨーク市が公園建設の合意書に調印。
この合意書で特筆すべきは、公園の維持管理運営については、独立採算であることが条項で明示された点です。
この合意書に基づき公園建設は2008年から着工し、2010年以降、順次オープンしています。
公園内にコンドミニアムを建設
公園の維持管理運営会社であるThe Brooklyn Bridge Park Corporationによれば、平均年間維持管理費約16百万ドルのうち、96.1%を公園内の敷地の9%を占める5棟の住宅棟と駐車場の地代収入とPILOT(Payment in lieu of taxes:住宅所有者が支払う、土地が公有地であるために免除されている固定資産税相当額分の支払い)で、3.9%を園内レストランなどの営業権収入(Concession)とイベント収入でまかなっているとのこと。
ブルックリンのコンドミニアムといえば1部屋億を越える金額ですから、採算は十分取れているようです。(地価の上昇も公園の人気が支えている、という循環もさすが。)
ニューヨークの新名所に
公園にはメリーゴーランド、BBQがすぐできるピクニックエリア、人口の砂浜、川沿いの緑道、ローラスケートリンク、バスケ・ハンド・バレー・バッチボールコート、噴水公園(日本の親水公園の比じゃないスプラッシュぶり)、図書館のミニカート、ドッグラン、自由の女神を眺めながら屋上で食べる炭火焼ピザの店、雑誌でベストロールに選ばれたロブスターロールの売店などなど、あったらいいながてんこ盛り。
週末に催されるスモーガスバーグは、毎回100店舗以上の飲食店がブースを構える食の祭典として大人気で、夏には、毎週10万人を越える人出があるそうです。
もはやすっかりニューヨークの名所となったブルックリンブリッジパーク。ニューヨークを訪れた際は、ぜひ立ち寄ってみたいですね。