緑豊かな道路に突如現れたマーケット
豊島区池袋。1日に250万人以上もの利用者を誇るターミナルでもあるこのエリアが、今少しづつ変わり始めています。池袋駅東口を出てアーケードを抜けた先にのびる“グリーン大通り”。歩道も広く緑豊かなこの通りに、今年オープンカフェと沢山のポップアップショップが突如出現しました。 2015年10月24日〜25日に池袋・グリーン大通りで開催された「GREEN BLVD MARKET」。春に開催されたマーケットがバージョンアップして登場したこのイベント、「都市空間の魅力向上やまちのにぎわい創出」の事例として社会実験の枠組みで行われていたのですが、まちの印象がじわじわと変わるような仕掛けがちりばめられていました。
小さな実験を繰り返して少しづつ賑わいを生み出す取り組み
今回の“GREEN BLVD MARKET”、「BLVD(ブルバール)」とは、フランス語で「街路樹のある大通り」という意味があるんですって。グリーン大通りでのマーケットにふさわしいネーミング! 銀行やオフィスビルが立ち並ぶビジネスストリートのグリーン大通り。この通りの先に5月に新設された新区庁舎によって、平日はオフィスワーカーが行き来するのですが、休日は閑散としていたそう。
この通りがもっと賑わうためにはどうすればいいか協議を重ね、2014年10月から「オープンカフェ社会実験」として、通りに面したカフェやコンビニが連携して、店舗の前にテーブルと椅子を出すというオープンカフェの社会実験を期間限定で実施。まずは小さな動きから、グリーン大通りを活用する動きが始まりました。
そして第2回目のオープンカフェ社会実験と同時期に開催されたのが、今年5月〜6月の“GREEN BLVD MARKET”。2ヶ月間毎週土日に開催し、グリーン大通りという場所を多くの人に認知してもらうきっかけとなったとか。
2回のオープンカフェ、1回のマーケットを経て、さらにパワーアップしてきたのが、今年10月に開催された“GREEN BLVD MARKET”。今回の企画内容に国交省が賛同し、賑わい創出に関する調査事業の一環として一部サポートを受けて開催されました。
前回のマーケットとの違いを、運営責任者の関本さんに伺いました。
「前回は野菜・雑貨・アクセサリー等がメインだったのですが、今回は公共空間の可能性をより感じてもらうために、滞在時間の長い飲食店舗に絞って出店者を集めました。しかも地元豊島区に店を構えているところに出店を依頼していきました。地元の方が地元のことを知ってもらう機会にもなればと思って、ここはこだわりましたね。」(関本さん)
道路で堂々とご飯を食べ、お酒も飲んじゃう!
開催当日は、ちょっと肌寒い秋晴れの天気。リヤカーをリメイクしたカートがグリーン大通りに立ち並びます。朝の準備時間に出店者がこのリヤカーを押しながら街中を進む様子は圧巻! 歩道に配置されたリヤカーは、店舗ごとにクロスを広げたり黒板やPOPを置くことでその日限定のお店に変身。
ブラジル料理、ピザ、パニーニ、ジンギスカン、中華やアジアン料理などバラエティに富んでいて、どれを食べるか迷ってしまいます。 それぞれに工夫をこらしたメニュー(中にはこの日限定のメニューを作っていた店舗も!)で道行く人を迎えています。
リヤカーとリヤカーの間にはご飯が食べられるようにパラソルと椅子・テーブルが置かれていましたが、長居せずにさくっとご飯を食べたりお酒飲めるように、長いハイカウンターが出現。これは素敵。たまたま通りすがったおじいさんがランチを買って、ついでにビールも買っちゃって、一人立ち飲みしながらお弁当を食べていると、カウンターの隣でご飯を食べていた人と「これおいしいですよ〜」とか「こんなお店いいですね〜毎週出てほしい!」と会話が生まれたりするような、そんな会話のきっかけになるようなハイカウンター、賑わいを生み出す装置になっていました。
道行く見知らぬ人も、同じ空間を共有していることで仲間意識が芽生えてくるんでしょうね。 おのおのの楽しみ方ができる工夫がちりばめられていました。
テーマの異なるマーケットとの連動でさらなる賑わいを
グリーン大通りでの賑わい創出に向けた動きは、いくつかのイベントが同時並行で行われることで、より日常的にグリーン大通りがまちの人に愛される場所になっていきます。
「GREEN BLVD MARKET」の翌週に開催されたのが「ぶくろマルシェ」。
こちらは飲食だけでなく、まちの「作り手」である雑貨屋さん、アクセサリー作家さん、そして有機農家さん等、バリエーションに富んだラインナップ。色んなコンテンツがあるので、長時間いても飽きることなく楽しめる。もちろん地元の飲食店も出店。 多面的に活用されていくことで、行政の中にも、市民の中にも、「公共空間って色んな使い方があっていいんだ!」という気づきが生まれていたらいいですね〜。
今後の展開
マーケットはこの秋で終了しましたが、賑わいを生むには、小さな動きであっても継続していくことが何より重要。警察協議や道路使用許可申請等、超えなければならないハードルは沢山あると思いますが、是非持続的な取り組みにしていってもらいたいです。 この事業を担当した豊島区都市整備部の活田(いくた)課長は今後の展開についてこのように言っています。
「公道を活用した取り組みを続けることで、自分の街の価値があがるといいなと思っています。また、自立的な運営体制を構築することも重要です。今後は協議会を立ち上げて、地元の方や有識者を集め、民間主導で自立的にエリアマネジメトを進めていければと考えています。」
年明けには早速エリアマネジメトを検討する協議会が発足され、今後の動きが進んでいく模様。池袋東口エリア、ますます目が離せません!