自然の中で楽しむクロスカルチャーのお祭り
深い森の中に佇む築100年に迫る古い講堂、校庭に立つ大きなクスノキが印象的な廃校“かわなべ森の学校”が今回の主役。ここでは毎年8月の終わりに多様なジャンルのクリエイティブが集結するGOOD NEIGHBORS JAMBOREEが行われています。各地から、音楽、デザイン、クラフト、 アート、ダンス、写真、映画、文学、食…などあらゆるジャンルの作り手が集まり、ライブやワークショップ、ポップアップショップを展開。まるで童話に出てくるような自然に溢れた小さな学校に、毎年2000人もの来場者が訪れます。
この学校は鹿児島市から車で1時間弱、自然の美しいまちをいくつも通り過ぎ、緑深い森に包まれた細い山道を抜けて辿り着く場所にあります。青々とした芝生の上、まわりの木々に馴染むかのように設置された野外ステージを前に、「ここにあのミュージシャンが来るの?」と思わせる、そんな場所で、奇跡のような夏の1日が繰り広げられているのです。
地域の小学校だったからできること
普段、かわなべ森の学校は南九州市グリーン・ツーリズム協議会が管理を行っています。南九州市の「学校跡地施設の一時貸付取扱要綱」に基づき利用規定が定められ、一般に開放されています。GOOD NEIGHBORS JAMBOREE実行委員会では、毎年夏に、この森の学校を借りて開催しています。
また、イベント会場として学校を借りるだけでなく、開催前はボランティアと草払いをし、地元企業や大学との連携、人材育成などを積極的に行っています。地域コミュニティーからゴミ分別について学び、それをジャンボリー会場でも生かすエコ活動など、公共施設の活用にとどまらず様々な地域に密着した取り組みが試みられています。何より、参加者も主催者もとても楽しく過ごしている風景が魅力的です。
各地のクリエイティブがジャンルを超えて集まる
そして、GOOD NEIGHBORS JAMBOREEには、地域のレストランやカフェ、また、クラフト作家のショップやこだわりの本屋さんなど総勢50店舗が出店します。また、ダンスや音楽、アートなどのワークショップや映画上映といった10以上ものプログラムが、学校の教室や校庭のテントを利用して1日中行われています。そこに、ミュージシャンをはじめとしたさまざまなジャンルのゲストが県内外から参加。場内で販売されるフードやドリンクを楽しみながら、講堂で行われるワークショップやトークイベント、または夜まで続くライブを通して、参加者全員が交流し、1日を楽しんでいるのです。
みんなでつくり、みんなで楽しむフェスティバル
GOOD NEIGHBORS JAMBOREEを知っている人からたびたび聞くのは「夏の終わりが待ち遠しい」という言葉。おそらく、参加者みんなが、友人や家族を連れて来場し、自然の中で繰り広げられるこのお祭りを精一杯満喫するから。なぜ、そんなことができるのでしょう。それはこのGOOD NEIGHBORS JAMBOREE で1日を通して繰り広げられるプログラムはすべて、 集う人がさまざまな形で参加する「みんなでつくるフェスティバル」というコンセプトでデザインされているからではないでしょうか。例えば、来場した子どもが場内アナウンスをしたり、食やクラフトのポップアップストアの出店者が、青い空の下、校庭で行われるマーチングバンドで演奏したり、またはワークショップに参加したりと、その楽しみ方はさまざま。来場者は思い思いに1日を過ごしています。ここでは、大人も、子どもも関係ありません。クリエイティブなコト・モノを学校でこころから楽しむ、みんなの“夏休み”なのです。あなたも、一度来たら、忘れられない夏の思い出となる森の学校のお祭りに、行ってみませんか。