2016年度初めに出版された、公共R不動産ディレクター馬場正尊の著書『エリアリノベーション』。魅力的な変化を遂げている街を「工作的都市」と呼び、計画に沿ってできているのではなく、むしろ既存の空き空間をうまく活用して尖ったコンテンツが生み出され、それが波紋のように伝播し変化していくメカニズムを、事例をもとに分析した本です。広島県三次市から、そんな変化を自分の街でも起こしたいとのご相談を受け、公共R不動産では2016年度から「三次町エリアリノベーション」プロジェクトのお手伝いをしています。2017度は2回のワークショップを開催しました。いったい今年はどんな変化が起こったのでしょうか?その様子をレポートします。
※ 2016年度のワークショップの様子はこちら[リンク]をご覧ください。
2017年度、第2回目のワークショップは2月17~18日の週末に開催しました。
第1回目は実際に体を動かしカフェをかたちにするというDIYコースでしたが、第2回は、空き家の活用アイディアを練り、実際にビジネスとして持続可能なよう、事業計画をたててみるというコースでした。
参加者は三次在住だったり、なんらかゆかりがあったりする方を中心に、全部で16名。8名のチームを2つにわけ、それぞれにチューターがつきました。
講師兼チューターとして、東京R不動産/(株)SPEAC代表の吉里裕也さんと、地元広島出身の(株)アラキササキアーキテクツの佐々木さんをお迎えしました。
1日目:ガイダンス、まちあるき、ブレインストーミング
まず、2日間の進め方や開催背景のガイダンス。物件視察・まちあるき→ワークショップ→発表で空き店舗を活用する事業アイディアを1泊2日で集中的に考えます。
まちあるきに先立ち、吉里さんによる空間の作り方・事業を生み出すときのポイントをレクチャーしていただきました。みなさん、具体的にやるべきこと、考えなければいけないことが見え、わくわく度が上昇。
レクチャー後、ランチをしながら自己紹介タイム。ランチは三次市名物「辛麺」入りのお好み焼きをいただきました。汗だくだくでさらに熱量上昇。
いよいよ物件視察へ。今回の対象物件は2つ。物件だけでなく、まちもぷらぷらして、周辺で使えそうな地域資源の発掘の視点を忘れずに。
ワーク会場にもどり、早速ワークへ。17時からのミニプレゼンに備えて、まずは物件と周辺地域のポテンシャルとまちに必要なコンテンツから、建物の活用アイディアを出し合いました。
1日目のワーク終了前に、各チーム中間報告。お互いのチームからアドバイスをもらう時間です。が、そこで困った事実が発覚。Bチームの物件の老朽化が激しすぎ、そもそも改修しても使えなそうだという判断に。
そこで、せっかく空き物件で何か起こしたい地元メンバーもそろっていたので、急遽方向転換。チームBも、チームAと同物件で一緒に提案を練り上げることとなりました。
提案後の懇親会は、昨年度のエリアリノベーションから誕生したカフェクラスメイトを特別プレオープンしてもらい、ケータリングで交流パーティを開催しました。
2日目:佐々木さんのレクチャー&いよいよ発表
2日目の朝は佐々木さんのレクチャーから開始しました。佐々木さんは設計するときの視点、モクタンンカンのプロジェクトについてなどお話いただきました。
2日目はAチームBチームの総力戦。手分けして、事業計画をたてたり、ツアーのプランをつくったり?活用の方法と事業内容、プレーヤーの検討を進めます。最後にはかなり具体的なプランの発表となりました。1階はチャレンジショップ的な飲食と物販、2階はシェアハウスとゲストハウス。
今回は物件を提供してくださったオーナーさんが非常に前向きで、自らワークショップにも参加してくださったため、家賃や内装の具体的な投資額や、この物件の背景を教えてもらいながらワークを進めることができました。
そしてないより、2階部分に実際に住みたいという人が2名、1階部分でお店をやりたいという人が3名!名乗りを上げてくださって、リアルなニーズと投資家能楽、賃料など顏が見える関係の中で、発表後もチームを組んで継続検討しているようです。カフェクラスメイトにつづき、三次にどんな変化が生まれてくるのか、楽しみです!
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