最近欧米で流行のアーバン・ガーデン
その名の通り、都会のど真ん中の農園のこと。ここ、ベルリンのプリンセス・ガーデンもそのひとつ。今では立派な観光スポットですが、実はやんちゃな青年2人が、広大な市有地を不法占拠してしまったのがことの発端。
きっかけは、その1人、ショウが旅行で目にしたキューバの風景。都市の隙間に現れる、畑とビル群のコントラストのおもしろさだったそうな。キューバでは経済的な理由から、都市農園が自然発生。それが、人の関わりの希薄な都会で、人が集まり、恊働し、学び、楽しむコミュニティを生みだしている…
「そんな場所がドイツにもあったらいいのに!」2009年、ショウは仲間に声をかけ、ベルリンの崩壊後、荒れ果てた6,000㎡もの空き地に目をつけ、ゴミを拾い、耕し、種を蒔くところからスタート。種を蒔くプランターは誰の所有でもなく、みんなのもの。誰でも参加し、植物を育てる楽しみを味わい、緑の中でゆったりと過ごすことができる場所ー自然と仲間は増えていきました。
立退き要請を超えて
ところが、ベルリンの経済が上向いてきた2012年。ベルリン市は彼等に立ち退きを要請。確かに、街のど真ん中の空地なんて、売却した方が市の財政にとってよいに決まってますよね。しかし、そこで、引き下がらなかったベルリン市民。数週間で3万人の署名を集め、なんと要請を撤回に!その後は正式に市からの貸付け地として公認されることになりました。
ノマド的植物とコンテナカフェ
とはいえ、未だに毎年更新という不安定な貸付け条件。いつ立ち退きを迫られるかわからないので、野菜は全てプランターや空き箱など、移動可能なものに植え付けられ、カフェも暫定的なコンテナで運営されているという。これまた個性的な空間です。
ガーデンは徹底的に市民の「参加」にこだわり、例えばハーブティーを注文すると、カップとハサミが手渡され、好きなハーブを収穫するプロセス付き。カフェから上がる収益は公園の管理費用に充当されます。半端ないDIY感。
パブリック空間て、本来、こんな風に市民の手でつくるもんなのかもな〜と気づかせてくれる都会のオアシスなのでした。