公共R不動産がピックアップする物件
公共R不動産がピックアップする物件

公共不動産データベースの「今」をピックアップ!(2024年6月)

「公共不動産データベース(公共DB)」から、テーマに沿って公共R不動産メンバーが気になる物件をピックアップするシリーズ。今回のテーマは「公共DBの今をピックアップ!」。担当は、公共不動産DB運営担当の矢ヶ部慎一さんです。

「公共不動産データベース」(以下公共DB)とは、全国の遊休公有財産の情報を一元化したサービス。自治体は簡単な操作で物件情報を登録することができ、民間事業者は面積や築年数など整理されたデータ項目と写真が大きく見やすいデザインで、全国の遊休公有財産情報を一気に検索することができます。

そんな公共DBの中から、公共R不動産メンバーがテーマに沿って気になる物件をセレクトするこのシリーズ。

6月と12月は、運営担当の矢ヶ部さんによる現況の振り返り回。日々の運営の中で見えてきた最近の会員動向や登録物件、そこから浮かび上がる注目物件など、公共DBの「今」をゆるく分析していきます!

※公共R不動産による独断と偏見でピックアップしています。
物件の詳細は、各リンクの物件情報と問合せ先からご確認ください(閲覧には会員登録が必要です)。また、データベース内の物件は常時更新されているため、リンク先の物件の掲載が終了しているものもあります。ご了承ください。

矢ヶ部さん

公共不動産データベースは、おかげさまで開設以来、自治体会員、民間会員共に順調に伸び続けており、それに伴って公共DBに登録されている物件数も順調に伸びています。
ちょうど現在(4月〜6月)は新年度に伴う情報更新のタイミング。水面下で準備してくださっている自治体も多いので、今後の物件公開にご期待ください!

自治体会員から見る公共DB

矢ヶ部さん

公共DBを利用してくださっている都道府県(自治体)のうち、現時点(2024年6月中旬)最も物件登録数が多いのは京都府です。京都は現時点で廃校がいくつか掲載されていますが、さすが京都、校舎も歴史的な趣のあるものが多いです。
その後に続くのが、茨城県/埼玉県/兵庫県の3県。茨城県は常陸大宮市が「民間ニーズ調査」で続々と物件が登録中。埼玉県は深谷市と熊谷市、兵庫県は豊岡市さんが立ち上げ当初から活発に使ってくれていてありがたいですね。

民間会員から見る公共DB

矢ヶ部さん

民間会員の方には、会員登録をしていただく際、「公共不動産を活用してやりたいこと」という項目にご回答いただいています。開設当初から変わらずに断トツで多いのは「学校物件を、学校的な用途に使いたい」というニーズ。
そんな中でも、個人的に気になっているのは、「ブランドの世界観を体感する場所をつくりたい」「ラグジュアリーな場所をつくりたい」といったキーワードがチラホラと出てきたこと。正直、これまでの公共不動産のイメージからは思い至らないような組み合わせ。使われていないものを生かすことに価値を見出す人が増えているのか、はたまた、公共不動産の使われてきた歴史、さらにはその街の背景ごと取り込めるところに魅力や可能性を感じていただけているのか……。
決してその問い合わせ数自体が多いわけではないのですが、そんな方が増えてきているかもしれないという兆しを(願望含め)勝手に感じ取っている今日この頃です。

そんなDB担当が選ぶ最近の注目物件をピックアップ!

オフィスビル丸ごと、プール付き?!

プロミティふちのべビル低層棟(神奈川県相模原市)
https://db.realpublicestate.jp/estates/5303

矢ヶ部さん

最近、お?!と思ったのが相模原市のビル1棟丸ごと使えますよ、という物件。
これまで公共不動産といえば、市民向けの行政サービスを担ってきた施設が登録されることが多かったのですが、こちらは担当部署が神奈川県企業庁。民間企業のように独立採算の組織なので、こうした物件も抱えているんですね。フィットネス施設やプールも備えながら、使い方の自由度も高く、可能性が膨らみそうです。
公共DBといえば「廃校」や「文化施設」で、こういうビルは場違いかな……と遠慮されている自治体の方がいましたら、ウェルカムですよ!とお伝えしたいですね。

公共不動産活用は、政策目的とセットで

岩倉市青少年宿泊研修施設希望の家(愛知県岩倉市)
https://db.realpublicestate.jp/estates/5310

矢ヶ部さん

こちらは、民間事業者の活用目的が社会福祉施設の場合は、建物を無償譲渡する​​という「条件付き」の譲渡物件。社会福祉施設の展開先を探している事業者さんにとっては注目の物件です。
公共不動産の今後は、施設単体だけではなく「まち」として考えるのが望ましいと考えている立場としては、「売れれば誰でもよい」「買い手がいないから無償で」とせず、自治体の政策目的に合致する方向性で譲渡する道を探る、というのは意義のある方向性だと思います。
もちろん活用のハードルは上がってしまうのも事実なので、一旦条件を絞って反応を得た上で、次の手を考えるのもあり。どんどんこのDBを使って試してみてほしいですね。

データベースの新たな使い方?!

【トライアルサウンディング結果公表】碑文谷公園(東京都目黒区)
https://db.realpublicestate.jp/estates/5178

矢ヶ部さん

目黒区では、碑文谷公園のトライアルサウンディングの実施中から公共DBに登録してくださっています。「なるほど、必ずしも民間譲渡や賃貸などの目的でなくても、民間との対話の場としてデータベースが使えるのか!」と僕たちとしても発見したような気持ちでいたら、今度は結果報告のリンク先として、情報を掲載して、広く周知しようとしていらっしゃる。これぞ情報発信!
フラットなデータベースだからこそ、こんなふうに多様な使い方を許容できるんだと気付かされました。これからも自治体の皆さんに、ニーズに合わせた使い方をどんどん編み出していただきたいです。

インパクト大な城物件、健在!

城常総市地域交流センター 豊田城​​(茨城県常総市)
https://db.realpublicestate.jp/estates/925

矢ヶ部さん

公共不動産データベース立ち上げの頃から、インパクト物件として何度も話題に上がってきた城、なお健在です!
常総市さん的には望ましくない状況かもしれませんが……(笑)初掲載から4年、継続的に情報を更新してくださっています。自治体の公共施設へのきめこまやかな対応や姿勢が伝わってくる、推し物件。ぜひ興味のある方は常総市さんまでお問い合わせください!

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リリースから約3年半、全国の自治体から続々と公共不動産が掲載されてきています。まずは一度ご覧ください!

公共不動産データベース(公共DB)

https://db.realpublicestate.jp/

お宝物件を掘り出せ!「公共不動産ディぐるナイト」

公共DB立ち上げ当初から話題の城物件

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公共R不動産の本のご紹介

クリエイティブな公共発注のための『公募要項作成ガイドブック』

公共R不動産のウェブ連載『クリエイティブな公共発注を考えてみた by PPP妄想研究会』から、初のスピンオフ企画として制作された『公募要項作成ガイドブック』。その名の通り、遊休公共施設を活用するために、どんな発注をすればよいのか?公募要項の例文とともに、そのベースとなる考え方と、ポイント解説を盛り込みました。
自治体の皆さんには、このガイドブックを参照しながら公募要項を作成していただければ、日本中のどんなまちの遊休施設でも、おもしろい活用に向けての第一歩が踏み出せるはず!という期待のもと、妄想研究会メンバーもわくわくしながらこのガイドブックを世の中に送り出します。ぜひぜひ、ご活用ください!

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