経歴を教えてください
梶田裕美子(かじた・ゆみこ):公共R不動産/紡(西小山編集室)
・中央工学校女子建築設計科卒業
・デザイン事務所やプロデュース会社にて、商業施設の企画・デザイン業務に従事
・不動産デベロッパーにて事業企画、商品企画、広報、企画営業など幅広い分野に関わりプロジェクトマネジメントしての経験を重ねる
・2009年に独立。㈱全国商店街支援センターの立上げメンバーとして支援メニューの開発等に従事(2014年3月まで)
・2017年より公共R不動産に参加
・その他、場(不動産)を通してまちと暮らしの質を高めるプロジェクトを個人やチームでも実践中
公共R不動産のプロジェクトで特に印象深いものは?
「旧大宮図書館活用プロジェクト」です。さいたま市では「大宮駅周辺地域戦略ビジョン」に基づき「公共施設再編による連鎖型まちづくり」に取り組むなかで、大宮図書館を新たにオープンした大宮区役所新庁舎内に移転することが決まっていました。
旧大宮図書館となる場の今後について検討する中で、馬場さんの「エリアリノベーション」の講演会を聴いた市の職員の方々が、「リノベーション活用という選択肢もあり得るのではないか⁉」と考え情報を精査し、市民の方々に活用の可能性を問うパブリックミーティングを開催することになります。その結果、元々は解体の可能性が高かった旧大宮図書館は、リノベーションによる民間活用という新たな選択を得て、“人と、情報と、楽しさ集まる大宮のコモンプレイス『Bibli』”として、2021年12月に開業しました。
当プロジェクトにおいて着目すべき点は、市の職員の方が前例に捉われずしっかりと選択肢を揃えて比較検討したことが、この場所の未来を大きく変えたことです。サウンディングから公募まで関わらせていただきましたが、さいたま市の方々の柔軟性と実行性、市民の方々のまちへの関心度の高さが、結果として、実績とコンテンツ力のある事業者の誘引に繋がり、これまでにない機能とコンテンツが生まれました。武蔵一宮氷川神社の参道横という魅力的な立地も、今後このエリアの奥行を更に高めてくれると期待しています。
あなたが考える公共R不動産らしさ、特徴とは?
特徴的なのはメンバーの多様性、一概には説明できない経歴の持ち主が多いこと。面白いことへの興味関心・優先度が高い人たちの集まりなので、多少のリスクよりも「面白そう!」が原動力となりチャレンジできる人が多いと思います。それでいて、民間と行政の間に立つコーディネーターの役割を求められる機会も多いので、実はバランス感覚や客観的な視点も必要とされます。責任感を自己完結することなく、適宜メンバーに相談しながらチームとして緩やかに動ける人が、公共R不動産のプロジェクトメンバーに合っているように思います。
公共R不動産をやる中で、どんなことにやりがいを感じますか?
仕組みに関われること。上流から下流までドライブできること。企画や計画のはじまりに関わるチャンスはもちろん、プレイヤー側でのサポートや実践という選択肢もあるので、一般的なコンサルタントでは経験できない事業軸や関わり方があることは大きな魅力だと思います。公共不動産データベースを自社開発してしまうというのも公共R不動産ならではの発想。楽しいことを企画・発信するだけでなく、感じた課題を仕組みとして発信できるのはメディア発想の強みかもしれません。
公共R不動産でこれからチャレンジしていきたいことは?
公共不動産活用がもっと当たり前に流通する世界を1日も早く作っていきたい。そのための仕組みを行政には提案し、そのための機会をより多く民間企業には提案していきたいと思っています。
これまで個人・民間・公共不動産に関わる中で共通して感じてきたことは、どんなに素晴らしい建築家やデザイナー、企画者やコーディネーターがいても、オーナーや事業主の意志や意識が要となり、暮らしやまちのふるまいを創っているという現実。オーナーの眼差しがまちの未来に向かっていなければ、持続可能なまちづくりはできないと思います。そこに問いかけて選択肢を広げていくこと、仕組みや制度についても積極的に提案していけるよう、学びと実践を重ねていきたいと思っています。
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