蒲原・由比は江戸時代に整備された東海道の15、16番目の宿場町。趣のある町家がならび、いまもノスタルジックな街並みを残しています。近年では、町家を活用した民泊の宿や飲食店、複合施設など新たな拠点が生まれており、2022年7月にはエリアの新しい拠点「トライアルパーク蒲原」が開業しました。そんな新しいまちづくりの動きをさらに後押しすべく、空き家見学ツアーを開催することになりました!
公共R不動産と一緒に本ツアーを企画し、ご自身でも蒲原エリアで町家の宿を運営している牧田裕介さん。いち事業者として感じる蒲原・由比エリアの魅力について、そして空き家見学ツアーのポイントや訪れる予定のスポットについてご紹介いただきます。
新旧が入り混じる、
蒲原・由比エリアのまちづくり
公共R不動産ではこれまでトライアルパーク蒲原のプロジェクトについてレポートしてきましたが、蒲原・由比エリアでは、その前から少しずつ新たなまちづくりが進んでいました。
その背景として、このエリアは魅力ある街並みを残しながらも近年では、空き家が目立つようになり、町家が取り壊されていくといった課題がありました。そこで空き家調査が行われ、地域の歴史ある建物が有形文化財に登録されたほか、さまざまな事業者が思い思いに空き家を使いこなそうとする動きも見えてきました。
2020年頃から、ゲストハウス「燕之宿(つばめのやど)」のほか、有形文化財をリノベーションしたベーカリーカフェ「かえるの庭」、空き家になった町家を改装した民泊の宿「456」などが誕生。空き家活用のほかにも、新蒲原の駅前には人気のジェラート屋やクラフトビールの醸造所を併設した複合施設「スルガノビレッジ」も開業しました。まちをホテルのように見立てる取り組み「まち泊」の一環として宿泊施設の受付も兼ねています。
2020年には牧田さんご自身も一棟貸しの宿「素空庵/soku-an」を開業しました。プレーヤーとしてまちと関わる牧田さんは、この数年の蒲原・由比エリアのまちづくりの動きについてこのように話します。
「この地域ではNPOなどの市民活動が盛んで、歴史ある建築や文化の保全に、みなさん熱意を持って取り組まれています。こうした活動の積み重ねや思いに支えられているからこそ、いまでも町家や町並みが残り、最近のまちの変化に繋がっているようにも思います。
そのうえで、やはり2022年のトライアルパークのオープンはまちにとってインパクトがありました。地域内外から多様な出店者が集まり、芝生の広場では子ども達やまちの人が気ままに遊んでいたりくつろいでいたり、という風景がうまれています。多様性を絵に描いたような場所です。それが3年間の仮設空間であることも、チャレンジングな機運を高め、まちに良い刺激を与えてくれています」
トライアルパークの開業後にも、いくつか新しいお店やスポットが生まれており、まちづくりの流れは加速しているようです。
まちの規模と立地のバランスがいい
新しい挑戦のハードルが低いまち
宿場町の歴史のほかに、このエリアにはどんな魅力があるのでしょうか。
「やはり一番の魅力は『人』ですね。地元の人は困っている人に対して、親身に相談にのったり、アドバイスをしたりと、手を差し伸べてくれます。
こんな体験がありました。宿の開業準備をしていたのがコロナ期間中で、アーティストさんが宿に飾る作品をつくるために寝泊まりしていたとき、人目を気にして籠っていたのをかわいそうに思ったのか、隣りのおばあちゃんが裏口から夕食を持ってきてくれて。そんな人間味のあるコミュニケーションが自然にある町なんです」
宿場町という歴史的背景もあるのか、地元の人は新しい動きに対して寛容な雰囲気があると牧田さんは話します。エリア外から移住して出店を希望する人にとっては、動きやすい環境であると言えるかもしれません。
海外で建築設計の仕事をしたあと、ユニークな社風に惹かれたという平成建設で働きながら、私財をはたいて蒲原駅近の町家を購入。地元清水でのライフワークとして、少しづつできる範囲で宿の事業を進めているという牧田さん。ご自身の体験を通じて、蒲原のポテンシャルについてこのように語ります。
「僕がこうして自分のペースで事業を行えているのは、まちの規模や立地のバランスが良い地域だからこそだと思っています。都市部と比べると、個人でも”やりたいこと”を始めることのハードルが低いと思います。狭いエリアのため仲間もできやすく、小さいお店でも良くも悪くも注目されるので、ほどよい責任感ややりがいに繋がっています。
このエリアにはまだまだ伝えきれていない魅力やポテンシャルがたくさんあると思います。桜えびやしらすなどの名産物もあり、富士山の眺望もあり、歴史と文化の背景もあって自然も豊か。東京から電車で2時間ほどというアクセスで、今後さらにインバウンドの集客も見込めるかもしれません。やり方次第で可能性はいかようにも広がり、もっとおもしろいまちになると感じています」
当日のプログラム
宿や飲食店など、空き家活用事例を知る
そんな蒲原・由比エリアの魅力を体感する空き家見学ツアー。まずは宿や飲食店などすでに空き家を活用したスポットを訪問し、さらに活用可能な空き家をオーナーの立ち会いのもとに見学することができます。
太平洋岸自転車道が旧東海道の蒲原・由比エリアということで、移動は自転車で。海沿いの道や東海道の街並みを見ながらエリアの雰囲気を体感してください。
以下が巡る予定の空き家活用スポットです。すでに空き家をリノベーションして事業を行っている人から話を聞き、事業のヒントが得られるかもしれません。
・素空庵(町家を改修した一棟貸しの宿)
・由のや(由比本陣の向かいの町家を改修した飲食店)
・456(町家を改修した一棟貸しの宿) など
条件次第で活用可能!
地域の風景をつくる、魅力ある空き物件
ツアーでは活用可能な空き家もいくつか巡っていきます。今回ご紹介する物件は、どれもオーナーと交渉済みで条件次第で貸出可能となっている物件です。そのうちのいくつかを写真でご紹介していきます。
・由比缶詰所元寮
・S邸
・KITTO
普段はあまり見られない空き家の中に入って、「自分だったらどう使えるかな」と妄想しながら見学してください。ツアーの後は個別相談会と懇親会の予定もあり。少人数制なので、しっかりコミットして話を聞いたり意見交換できます。
また、不動産や建築士の資格保有者も同行するのが本ツアーのポイント。専門的なアドバイスを受けながら空き家活用と事業について考えることができます。
一歩踏み出すきっかけに、ぜひご参加ください
最後に、蒲原・由比エリアで事業をしたいと考えている人、そしてツアーに興味のある人に向けて、牧田さんからこのようなメッセージをいただきました。
「まずは実際にまちの雰囲気や物件を見て、いろんな人の話を聞いていただき、最後はご自身の肌感覚を信じてアクションしてもらうのが大切だと思います。このツアーがアクションを起こすきっかけにしてもらえたら嬉しいです。
蒲原・由比は東京まで日帰りもできるくらいの場所で、ほどよい”田舎暮らし”ができると思います。気軽に参加してもらい、これからも繋がりができたり交流ができたらいいですよね。当日どんな方とお会いできるか楽しみにしています」
「蒲原・由比 空き家見学ツアー」
日程 8月5日(土)12:30スタート/ 15:30終了
集合場所 トライアルパーク蒲原
定員 7名程度(定員以上に達した場合は抽選とします)
参加費 1500円(レンタサイクル費)※保険代込
※プログラム中の自転車の走行距離数は15kmを予定しています。10歳以下のお子様の同行はご遠慮ください。
プログラム
12:30〜空き家4軒/空き家活用事例
15:30〜個別相談会(希望者のみ)
16:30〜懇親会(希望者のみ)トライアルパーク蒲原にてBBQ
雨天決行。雨の場合は、規模を縮小して蒲原エリアを徒歩でまわります
申し込み方法(事前予約制)
下記申し込みフォームよりお申し込みください
https://docs.google.com/forms/d/1TNAr7gZ8E57c2HWkTzFvXiicsIxrTkP4PKUUI0f5Bfw/edit
締め切り日 7/28(金) 12:00
選考結果のご連絡 7/21(金)※個別にメールにてご連絡いたします。
問い合わせ先 kaido.tour@gmail.com
主催:静岡市
企画:公共R不動産
協力:KAI堂 (公式インスタグラム @kaido_tour )
(2023/07/18追記)
締め切りを7月19日(水)から28(金)に延長しました