まちの魅力を体感しながら、空き家について学ぶツアー
8月5日、天気は晴れ。ツアー参加者がトライアルパーク蒲原に集合して、自己紹介やオリエンテーションが行われました。今回のツアーは、空き家活用の事例を見学しつつ活用可能な空き家も内見していくことで、空き家活用について具体的に考えていこうというもの。さらに自転車でまちを巡ることで、それぞれの空き家を「点」としてではなく、まち全体を「面」として体感してほしいという狙いもありました。
今回は東京と静岡市内から参加者が集まりました。蒲原や由比の空き家を活用して事業をしたいと考える人や、自らこの地域のまちづくりに関わっていきたいと考えている人など、モチベーションはさまざまです。
ツアーの案内人は、市内でそれぞれ宿を経営する牧田さんと大澤さん。空き家を活用した事業を実践するお二人からリアルなアドバイスを受けられることもこのツアーの大きなポイントとなりました。
今回のツアーは静岡市が主催しているので静岡市の職員の方々も伴走し、11名がチームとなって走行していきます。それではツアースタートです!
オーナーさんとの会話から、建物のストーリーを知る
トライアルパークを出発して、旧東海道沿いを走りながら蒲原と由比のまちを巡っていきます。老舗の酒蔵や飲食店、広重美術館などの前を通過し、宿場町の風景やまちのコンテンツに触れられるルートです。
今回はオーナーさんの立ち会いのもと、活用可能な空き家を内覧していきました。
・由比缶詰所元寮
旧東海道沿いでレトロな外観が目を引く「由比缶詰所元寮」。昭和初期、国策として蒲原にアルミ製錬工場が建設される際に技術者が寝泊まりする宿舎となったもので、その後は由比缶詰所の社員寮として使われてきました。
規模が大きいので、ひとつの事業者が借り上げ、ギャラリーやアトリエなど、複数のテナントが入居するかたちで活用していくのがよいかもしれない、といった意見が出ていました。今後も引き続き、活用アイディアを募集していくとのこと。
・S邸
S邸は庭付きの町屋です。空き家になって15年ほど経ちますが、オーナーさんが定期的に風通しに来て、大切に維持管理されています。裏には家庭菜園ができる畑も付いているのもポイント。オーナーさんからは「家族がこの家を大切にしてきた想いを理解いただける方に活用してもらいたい」というメッセージをいただきました。
カフェ、蕎麦屋、シェアスペースなど、空き家活用の事例も見学
空き家活用の事例として3つの場所を見学し、店主さんから空き家活用の体験談をお話いただきました。
その中のひとつは、チャレンジスペースとしてオープン予定の「KITTO」今後シェアハウス、シェアキッチン、レンタルスペースなどの機能が備わっていきます。レンタルスペースは空間を細かく区切り、1区画ごとに手頃な賃料にすることで、ワークショップやカフェ、サロンなど、誰もが気軽にチャレンジができるような場所を目指していくそうです。
近所の空き家オーナーさんもツアーに参加!
ツアーの半分が過ぎたころ、途中から80代の男性が参加されました。お話をうかがうと、なんとこのエリアにご親族の空き家を持つオーナーさんで、今後なにかいい活用方法はないかと考えているといいます。事前に市がツアーについて地域の回覧板に掲載し、それを見て参加を決めたそうで「ぜひ空き家活用について学び、今後、このツアーの題材として自分の空き家を提供したい」と名乗り出てくださったというのです。
空き家活用の第一の課題は、空き家の情報が出てこないことにあります。その背景には、空き家のまま放置しておいても困らない、もしくは貸すことの手続きや片付けなどが大変で放置しているといった事情があるようです。
空き家活用にはさまざまなハードルがありますが、オーナーさんが「活用したい」という意識を持つことが、空き家問題の解決の重要な糸口となっていきます。今回のオーナーさんの参加は、このツアーにかなり大きな意義をもたらすものでした。
今後の空き家活用への大きな一歩に
無事にすべてのスポットを巡り、トライアルパークに戻ってきました。
ツアーを振り返って、ひとりの参加者さんからこんなコメントがありました。古民家を活用して事業をしたいと考えており、日頃からこのエリアの空き家について情報収集をしていたという女性です。
「まず、この地域にたくさん空き家があるという実態を知って驚きました。これまでネットで調べてもあまり空き家の情報を得ることができなかったので。
空き家のオーナーさんから直接お話を聞けたことも貴重でしたし、実際に空き家を活用している飲食店のオーナーさんから改修の費用感や運営、集客についてなど具体的な話が聞けたことがすごく参考になりました。このツアーを通じて、牧田さんや大澤さんも含めて空き家活用の知見がある方や気持ちを共有できる方々と出会えたことがすごくよかったです」
こちらの参加者さんはツアーのなかで気になる物件との出会いがあり、後日改めてオーナーさんとお話する機会を設けることになったそうです。
本ツアーを主催した静岡市の堀井さんからも、ツアーを振り返ってこのようにコメントをいただきました。
「自転車で走っているとまちの人が声をかけてくれて、蒲原や由比はいいところだと改めて思いました。この取り組みはまだ始まったばかりですが、今日感じたように地元のみなさんが応援してくれているという機運が大切で、空き家単体ではなく、まちの全体として考えていく足がかりになったと思います。
実はここ最近、空き家の情報が集まりつつあります。今回参加してくださったオーナーさんを通じてまた新しい情報が出てくるかもしれないですし、このネットワークが広がっていくといいなと思っています。今日は清水区役所の蒲原支所から担当者の方も参加してくださったので、今後は空き家の情報提供から具体的な活用に向けていい循環をつくっていきたいです」
すでに空き家活用を実践している人、これから空き家を活用したいと考える人、そして空き家のオーナーさんも市のみなさんも、みんなで一緒に地域の未来について向き合った1日でした。とても和やかで有意義な時間であり、今後の空き家活用に向けた大きな一歩につながるツアーとなりました。
そして、さっそく今秋に第2回の開催が決定しました!
次回は蒲原エリアをクローズアップし、より深く空き家活用を考えてもらうために徒歩での開催としました。子連れでの参加も大歓迎です。空き家を活用しているオーナーさんのお話や、活用可能な空き家をじっくり見ていただく予定です。
詳細は以下の通り。蒲原エリアで事業を始めたいとお考えの方は、ぜひご参加ください!
「第2回 蒲原 空き家見学ツアー」
日程 11月25日(土)13:00スタート/ 15:00終了
集合場所 新蒲原駅
定員 なし
参加費 無料
プログラム
13:00〜空き家3~4軒/空き家活用事例
15:00〜個別相談会(希望者のみ)
※雨天決行
申し込み方法(事前予約制)
下記申し込みフォームよりお申し込みください
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfJYOCu3SonGBD-Rgx9kpRABFpgp7PGJ51vA24w10TQYftg_A/viewform
締め切り日 11/10(金) 12:00
問い合わせ先 kaido.tour@gmail.com
主催:静岡市
企画:公共R不動産
協力:KAI堂 (公式インスタグラム @kaido_tour )