公共R不動産がピックアップする物件
公共R不動産がピックアップする物件

“歴史的遺産を地域コミュニティの核に” 旧徳永家住宅の活用サウンディング実施中!“@大阪府守口市

今回紹介する物件は、大阪府守口市にある「旧徳永家住宅」という歴史的古民家。この建物を、市民が日常的に訪れることができ、歴史性を誇りに感じ、地域コミュニティの核にもなるような場として、民間事業者等に貸し出し「活用」するための事業者サウンディングを実施します。

旧徳永家住宅とは

守口市の中心部、京阪守口市駅北側には、豊臣秀吉が淀川の治水と大坂と京を結ぶ街道整備のために築造した「文禄堤」が現存しており、江戸時代には、東海道五十七次最後の宿場である守口宿が置かれました。現存する文禄堤は、守口市の約720mのみであることからも、貴重な歴史的資産です。

文禄堤上に建つ「旧徳永家住宅」

その文禄堤上に建つ「旧徳永家住宅」。河内木綿やなたね油など、上級商人の問屋であったと言われています。守口宿の景観を今に残す、伝統的家屋として昨年、市が取得しました。そのような往時の建物は、文禄堤内には数少なく、その歴史を継承する貴重な資産です。

守口市駅北側エリアリノベーション戦略

守口市は大阪市に隣接し、かつ交通利便性も高いという条件に恵まれ、全国でもいち早く保育料無償化に取り組んだことで、若い子育て世代が住みやすいまちです。

そんな守口市でも、子どもの成長とともに子育て世代が市外に流出、分譲マンションの増加に伴う地域コミュニティや地域への愛着の希薄化、空き家・空き店舗の増加などが進む中、定住促進、まちのイメージ転換が課題となっており、守口市駅北側を対象としたエリア価値の向上に向け、公民が連携して、共にまちづくりに取り組むためのアクションプラン「守口市駅北側エリアリノベーション戦略」の策定を進めています。

このエリアリノベーション戦略づくりには、地元の飲食店、美容室などの個店、保育園、不動産、地銀、デベロッパーや鉄道会社など、15の多様なプレイヤーが参加し、議論してきました。

「守口の個性」を形成し、界隈性や魅力、まちの回遊性を高めるものとして、文禄堤周辺に個性ある店舗を掲げ、店舗ごとに異なるコミュニティが生まれ、多様な世代・コミュニティが交わるまちを目指しています。

居心地のよいサードプレイスとしての個店が集積することで、守口に住み続けたくなる魅力や地域への愛着、若年世代の転出抑止、エリア価値向上につなげることを戦略に位置づけています。

「旧徳永家住宅」は、エリアリノベーション戦略の核のひとつとして、
・文禄堤の歴史生を尊重しながら、まちの誇り・自慢になるような活用
・大人も子どもも楽しめる場
・住み続けたくなるコミュニティの形成
の場として、この伝統的な家屋を単に「保存」するのはではなく、市民が日常的訪れることができ、文禄堤の歴史性を誇りに感じる、地域コミュニティの核になるような場、市内外の人たちがまちへの愛着を高める拠点として、民間事業者等に貸し付け「活用」する予定です。

活用イメージ

旧徳永家住宅の活用イメージ

活用方針:
・「守口の個性」を象徴する、街のシンボル、自慢できる場など、まちづくりの象徴となるような活用を目指す。
・子育て世代の居場所となる場づくりと、高質な雰囲気の大人の居場所、庭園を生かす複合的な活用を目指す。
・文禄堤による立体性のある都市空間、立地希少性を活かし、ダブルファサードによる商環境形成を促し、文禄堤の歴史性を継承する。

社会実験でのトライアルサウンディング

エリアリノベーション戦略の仮説検証として社会実験「守口さんぽ」を実施し、旧徳永家住宅では、活用事業に先駆けたトライアルサウンディングの一環として、駐車場・ガレージを10/15〜30までの約2週間、ポップアップショップとして活用しました。

そこでは、地元のデザイン工務店(cozy plan)による雑貨・インテリアショップとして活用したり、大阪公立大学の学生が廃校の家具をアップサイクルして販売したり(ato/tugi)、日本酒の酒屋さんがワインショップに新しく挑戦したり(酒やのまえだ)、金属加工の町工場が家具販売やものづくりの楽しさを伝えるワークショップ(新星金属製作所)にチャレンジしたり、パーソナルトレーニング(NoBlesse)や自家焙煎珈琲の豆販売(ゴールド珈琲)など、6店舗のショップは連日賑わい、守口暮らしの魅力を高める場としてのニーズが見えてきました。

守口さんぽでの旧徳永家住宅ガレージショップ

社会実験「守口さんぽ」はこちらでも紹介しています。
https://www.open-a.co.jp/works/7619/

この社会実験の結果や、今回行う事業者サウンディングを踏まえて、令和5年度に活用事業者を選定する公募型プロポーザルを実施する予定です。

活用にあたっては、既存建物の外観、耐震補強、屋根の防水工事などの躯体性能に関わる改修を市が行い、市が事業者に対して建物を貸付け、事業者自らが運営する施設による収益をもとに、内装等をはじめとする市が実施する以外の施設整備や管理運営を行うこととして、事業を行う民間事業者を募集する予定です。

旧徳永家住宅の建築的特徴

主屋・土間

起(むく)りをもつ切妻造、桟瓦葺きの大屋根と吹き抜け。大梁や垂木などはほぼ当初の材を残しています。また大屋根背面側につくられていた土間上部の煙出しの越屋根も、撤去することなく保存されています。
1階は主屋の北寄りに土間をおもてから裏まで通し、南寄りには間口4間の居室が配されています。土間の奥行が深い「守口宿」の町家に特有の平面形態であり、現存する数少ない遺構とともに当地の地域的特色を伝えるものとして貴重です。
左 土間に隣接する居室 中 中庭・土蔵を望む縁側 右 主屋二階

土蔵

主屋の北西に位置する土蔵は、4棟から構成され、全体としてL型に配されています。衣装蔵、道具蔵、米蔵として利用されていました。
左 土蔵(道具蔵) 中 土蔵(米蔵)と主屋 右 土蔵裏の庭(事務所、倉庫は解体予定)

旧徳永家住宅活用事業 実施方針(案)

以下守口市HPをご参照ください。
https://www.city.moriguchi.osaka.jp/kakukanoannai/toshiseibibu/toshikeikakuka/nyusathu/kyutokunagake/1669359926401.html

サウンディング(個別対話)スケジュール

実施方針(案)の公表 2022年11月28日(月)
実施方針等に関する質問・意見の受付  2022年11月28日(月)〜12月9日(金)
個別対話(サウンディング)の実施  2022年12月14日(水)〜2023年1月20日(金)
募集要項等の公表  2023年4月(予定)
事業者提案書受付  2023年6月(予定)

連絡先

事務局:守口市 都市・交通計画課
住所 〒570-8666 大阪府守口市京阪本通2-5-5 守口市役所5階北エリア
電話 06-6992-1685
e-mail Mori_toshikei@city-moriguchi-osaka.jp

連載

すべての連載へ

公共R不動産の本のご紹介

クリエイティブな公共発注のための『公募要項作成ガイドブック』

公共R不動産のウェブ連載『クリエイティブな公共発注を考えてみた by PPP妄想研究会』から、初のスピンオフ企画として制作された『公募要項作成ガイドブック』。その名の通り、遊休公共施設を活用するために、どんな発注をすればよいのか?公募要項の例文とともに、そのベースとなる考え方と、ポイント解説を盛り込みました。
自治体の皆さんには、このガイドブックを参照しながら公募要項を作成していただければ、日本中のどんなまちの遊休施設でも、おもしろい活用に向けての第一歩が踏み出せるはず!という期待のもと、妄想研究会メンバーもわくわくしながらこのガイドブックを世の中に送り出します。ぜひぜひ、ご活用ください!

もっと詳しく 

すべての本へ